木を植えよう!【支柱の立て方(後半)】

目次

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前回の続き

前回の続き、木を植えよう!の支柱編です。支柱はいろいろな方法があるのですが、今回は、八掛支柱(やつがけしちゅう)を中心に、なぜ支柱をするのか?どうやってするのか?ポイントなどを踏まえてご説明してまいります。

この記事について:

支柱の掛け方はさまざまなやり方があり、今回もひとつの方法(一例)として紹介させていただいています。作業を行われる際は、ご自身で十分に調べてから自己責任で行なってください。この記事を参考して作業を行い損害が発生した場合、当ブログは責任を負いかねますので、ご了承ください。

なぜ支柱をするの?

根の定着を手助けするため

植え付けられたばかりの木は、まだ根付いておらず、風で倒されてしまう恐れがあります。また、風で木が大きく揺れてしまい、場合によっては根を傷めることもあるのです。そういったことを防ぐために支柱をします。この風除けの支柱は、樹木がしっかりと根付くまで(だいたい2-3年ほど)設置してのちに外す、仮設物であることを念頭に入れておきましょう。

ただし「塩梅」加減と観察が必要です

ここが難しいところなのですが、支柱によるデメリットもあります。

  • シュロ縄が幹に食い込んで幹がコブ状になってしまう
  • ガチガチに固められすぎた支柱ありきで成長すると、外した後弱くなってしまうこともあるなど。

固定するときの塩梅加減が難しいのですが、あくまで根を伸ばすのは植物なので、日頃、気にかけてやりながら、場合によっては支柱を掛け直したり外したり、必要なことをしてあげましょう。

実践編:支柱をする(八掛支柱)

八掛支柱(やつがけ)とは

八掛支柱のイメージ図 「造園初級技能の手引き」p.49を参考

支柱には、いくつか種類があります。
八掛支柱は、幹周りが30cm以上の、比較的大きな木の場合によく用いられます。今回のような株立ち樹形に使われることもあります。樹木の周囲の3箇所から幹の下から3分の2程度の高さのところに向けて立てかけて固定します。このとき、どの方向から風が吹くかを考えながら位置を決めます。

材料・道具を準備する

材料と道具を準備します。

  1. 木槌
  2. ノコギリ:竹用だと使いやすいです。
  3. ハサミ:シュロ縄を切ったりします。

  4. :竹3本と足元を締める用の竹(根がらみとかヤラズと言います)を準備します。
  5. シュロ縄
  6. 杉皮または麻布などの当て布:樹皮を保護します。
  7. あれば針金:根本の竹を結ぶ時に使います。

どこにかけるか決める

まず、仮置きをしてどこにかけるか決めます。

このとき、風がどの方向から吹くか、どこが倒れやすいか考えて良さそうな場所を決めましょう。竹をかける順は、以下の図を参考にしてみてください。

竹の掛け方イメージ図(拡大)

ポイント1:三角形(トラス)を作る=強い支柱を作るコツ
ポイント2:竹と木が交互になるように設置

図のように三角形を作るのがコツです。樹木を支えている支柱を支える支柱も作る感じでしょうか。

そして、初めての場合この位置決めが少し難しいかもしれません。「あれ?これでいいのかな?」とわからなくなることもしばしばです。(ちなみに私は苦手分野です(・ω・;))ただ回数をこなせば慣れますし、リラックスして取り組んでみてください。

三角形(トラス)がいっぱい!

八掛支柱は三角形(トラス)がいっぱい!

この支柱の作りをよくよく見ると、三角形がいたるところにあります。建築でも使われるトラス構造だったんですね。どうりで強いわけです。

竹を打ち付ける

竹を打ちつけます

木槌がいいですが、金槌でもOKです。ただし、竹が割れてしまうかもしれないので当て木をしてやりましょう。

木には杉皮(麻布でも可)で保護しよう

竹と接触する部分の竹に、樹皮を傷つけないよう当て布をしましょう。竹との接触と、シュロ縄で縛った時に樹皮がヒモで擦れたりするのでそれを防止します。麻布でもいいのですが、竹と樹木の間を通すとき少し結びにくいので、あれば杉皮がオススメです。

ノコギリで2本切れ目を入れると「ポキッ」と外れます。

できれば竹に切れ込みを入れましょう

切れ込みを入れておくとより一層シュロ縄が外れることを防げます。数年かけっぱなしになるので、意外とシュロ縄がゆるくなり、この切れ込みが重要になってきます。

シュロ縄で結ぶ(男結び)

結び方はいろいろありますが、
しっかり解けない結び方(造園では男結び(おとこむすび)をします)、束ねた後、樹木と竹の間を通す結び方(よく「ころす」と言います)などをして、しっかり固定しましょう。

ポイント4:シュロ縄は一度水で濡らしましょう

乾いている状態だと、どうしても固く結びにくいのです。濡らして使うと締まりがいいですよ。

もし「男結びをやってみたい!」と言う方がいらっしゃったら、YouTubeで「男結び」と検索して動画を見て学ぶのがオススメです。いっぱい出てきます!どれもわかりやすいので、お好きな物でいいと思います。一度覚えると簡単ですし、これを身につけておくと他のことにも使えるので便利ですよ。

ポイント5:ヤラズは針金で縛るとなおよし。
ポイント6:さらに縛った後、叩いてやると効果が増します。

完成!

おおお!できた!完成です!

実践編:植えた後

「植えた後は何をすればいいの?」と聞かれたことがあったので、そちらを紹介します。

まず、植えられた後の木は?

発根に多くのエネルギーを使います。

植え付けられたばかりの木は、発根のために多くのエネルギーを使います。そのエネルギーは、葉で作られた糖を使います。この時、葉をきりつめすぎると根の細胞分裂のためのエネルギーも足りなくなってしまうのです。

樹種にもよりますが、基本的に樹木は根が切られるとそれに対応した枝を自分で枯らします。移植前の根回しが十分であれば、多くの枝を残すことが可能です。枯れ枝が発生すれば、とってあげましょう。

水やりについて

こまめな水やりは、空気不足になる

毎日こまめに水をやることがいいように思われがちですが、実は木にとってあまりいいことではありません。

こまめな水やりで、土の中の空気が少なくなってくると、根の呼吸が阻害されて、根が空気を求めて地表近くに上がってきます。上にあがってきた根は、乾燥に弱いので、水やりを忘れるとすぐに枯れてしまう恐れがあります。こまめな水やりを始めたら、永遠に続けなければならなくなり、しかも根腐れもしやすくなります。十分に呼吸ができず、また水分も吸収できなくなると、樹木は上の方から枯れ下がってくるのです。

ですので、

ポイント7:十分に通気・排水性を改善して、1回あたりの水の量を多くして深い層まで水が浸透するようにする
ポイント8:次の水やりまでに十分時間を空けるようにしましょう

じっと見守りましょう

「えええ〜!?それだけですか?」みたいな(笑)。

植えた後、どうなっただろうとやきもきして毎日気にして手間をかけすぎたりしてしまうのですが(はい。それ私です(・ω・●)ここはぐっと抑えて見守ってください。例えば見守る中で、夏に雨が降らない時期が続き、水が足りないかなと思ったら水やりをしたり、気にかけてやりましょう。

大昔の人も植木に気を揉んでいる

ここで、私の好きなお話を一つご紹介します。

森三樹三郎氏著の「老子・荘子」という本の中で紹介されていた、唐の柳宗元(りゅうそうげん)の「種樹郭槖駝傳(しゅじゅかくたくだのでん)」にある一文です。郭槖駝(駱駝(らくだ)に似ている郭(かく)という男という意味らしい。)というあだ名の植木屋の男の話なのですが、彼は非常に腕が良くて、植樹する木は絶対に枯れず、むしろよく茂って、早く実をならせたようで、みんなその秘訣を知りたくて彼の話を聞いたという話です。(ざっくり)

その郭槖駝の話がこちら。

私にはべつだん秘訣といったものはありません。ただ樹木の自然の天性に従っているだけです。木というものは、根が広がり、土が平均にゆきわたって、古土がおちず、突き固めが十分であることを要求するものです。これだけの条件を整えてやった後は、二度と動かしたり、心配したり、振り返るようなことをしてはなりません。その植える時には子を育てる気持ちでしますが、植えた後は捨て子にする気持ちが大切です。そうすれば木の天性が十分に発揮されることになります。ですから、私は木の成長を妨害しないだけで、別に木の成長を促進させるわけではありません。

森三樹三郎「老子・荘子」講談社 P.35より

そしてさらに…

ところが世間の人の木の植え方を見ていると、最初の植え方が悪いこともありますが、あまりにも木のことを気にかけ、可愛がりすぎるのです。朝夕となく木の様子を見て、撫でさすったり、木の膚(はだ)に爪を入れて活着をためしたり、木の根をゆすって土の密着をためしたりします。これでは木もたまったもんじゃありません。木を可愛がるつもりで、かえって大きな害をあたえているのです。

森三樹三郎「老子・荘子」講談社 P.35-36より

あ〜、胸が苦しいですね。昔、大事にしてた鉢植えの植物を可愛がりすぎて枯らしてしまったことを思い出しました(=ω=。)

この話を聞いた柳宗元は、「私は木を養う方法をたずねて、人を養う道を教えられた」と喜んだという話だそうなのですが、大昔から人々は木を植えた後、気になってやきもきして、いろいろ世話をしてしまう人が多かったんだなと。そして「過保護になりすぎちゃダメですよ」と言われていたんだなと、今も昔も変わらないなと感じました。

また、人間は大昔から木を植えていたんだなと思って、ちょっと嬉しくもなりました。「そうだよねー、楽しいもんねー。」て思って。(=ω=)ほっこり。

まとめ

いかがでしたか?

植えた木がすくすく育つことを祈って、見守りたいですね。成長した姿が楽しみです。

それでわでわ。

参考資料

参考書籍

  1. 一般財団法人日本緑化センター「最新・樹木医の手引き改定4版」(2019)
  2. 小暮幹雄「庭仕事のロープテクニック第3刷」誠文堂(2012)
  3. 木村了「わかりやすい造園実務ポケットブック」オーム社(2008)
  4. 三橋一夫・高橋一郎「わが家の庭づくりー実例と自分でつくるノウハウのすべてー」主婦と生活社(1995)
  5. 森三樹三郎「老子・荘子(第37刷)」講談社(2018)

参考webサイト

  1. 厚生労働省ものづくり立国推進事業造園初級技能の手引き〔改訂新版〕(2015)
  2. 柳宗元「種樹郭槖駝傳

動画編

八掛支柱について、大変わかりやすく説明している動画がありましたのでご紹介します。ベテラン現役庭師さんのチャンネルで、私もすごく勉強になりました。イメージがしやすいので、ぜひこちらもご視聴ください。

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